AI電話・ボイスボットの選び方|料金体系と使える場面の見きわめ

電話番に人を取られて本業が進まない。AI電話を入れてみたいけれど、サービスごとに料金の出し方がバラバラで、どれが自社に合うのか比べにくい——。そんな声をよく聞きます。AI電話・ボイスボットは、「どの電話を任せるか」を先に決めると、料金体系の向き不向きも自然に見えてくる道具です。この記事では、料金体系の4つの型と、任せやすい電話の見きわめ方、試用で確かめたい基準を一緒に整理していきます。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- AI電話選びは「任せる電話を1つ決める」→「料金体系を当てはめる」の順に進めると比較しやすい
- 料金体系は月額固定・従量課金・基本料+従量・取次(件数)課金の4型が目安。月のコール数と通話時間で有利な型が変わる
- 決め手になりやすいのは価格より「人への引き継ぎ」と「シナリオを自社で直せるか」。自社の実際の電話で試してから決めるのが現実的
AI電話は「料金表」より「任せる電話」から選ぶ
AI電話・ボイスボットを比べるときは、料金表を並べる前に「どの電話を任せるか」を1つ決めるのが基本形です。同じAI電話でも、営業時間外の受付だけを任せたいのか、日中の予約受付まで任せたいのかで、必要な機能も、有利になる料金体系も変わってくるからです。
現場でよくあるのは、資料請求をして料金表を見比べ、「一番安いところ」を選んでから使い道を考える流れです。この順番だと、実際に使い始めてから「聞き取りたい項目が設定できない」「通話が長くて従量課金がかさむ」といったズレが起きやすくなります。AI電話そのものの仕組みや、できること・できないことはAI電話・ボイスボットとはで整理していますので、あわせてご覧ください。
① 任せる電話を決める
用件・時間帯を1つに絞る
② 量を数える
月のコール数と通話時間
③ 料金体系を当てはめる
4つの型から有利な型を探す
④ 自社の電話で試す
聞き取り・引き継ぎを確認
②の「量」は、1〜2週間ほど電話の件数と用件をメモするだけでも十分な目安になります。数え方は電話番のせいで仕事が進まない|一次対応を自動化する4つの選択肢で紹介しています。
料金体系は4つの型に分けると比べやすい
AI電話の料金体系は、おおむね4つの型に分けて考えると比較しやすくなります。実際のサービスはこれらを組み合わせていることも多いので、見積りを受け取ったら「どの型に近いか」を当てはめてみてください。金額はサービス・機能・通話量で大きく変わるため、ここでは型の特徴に絞って整理します。
| 料金の型 | しくみ | 向きやすいケース | 注意したい点 |
|---|---|---|---|
| 月額固定型 | 決まった範囲内なら何件受けても月額が一定 | 件数が多い・月ごとの予算を読みやすくしたい | 上限を超えたときの扱い、使わない月も同額 |
| 従量課金型 | 通話1分あたり・1コールあたりで課金 | 件数が少ない・繁閑の波が大きい | 通話が長い用件だと想定よりかさみやすい |
| 基本料+従量型 | 月額の基本料に、通話量に応じた料金が加算 | ある程度の件数が安定してある | 基本料に含まれる通話量の範囲 |
| 取次・代行型(件数課金) | AIや人+AIが受け、用件を通知する件数で課金 | まず電話番から解放されたい | AIが回答まで完結する範囲は狭めの傾向 |
これに加えて、初期費用(シナリオ設計・設定費)と電話番号の費用が別にかかるケースが多くあります。比較するときは、月の想定コール数と平均通話時間を伝えたうえで、「初期費用を12か月で割った額+月額」を1コールあたりに換算すると、型の違うサービス同士でも並べやすくなります。
ここがポイント
件数が少ないうちは従量課金型、件数が増えてきたら月額固定型や基本料+従量型が有利になりやすい、というのがひとつの目安です。「今の件数」と「任せる範囲を広げたときの件数」の2パターンで試算しておくと、後から乗り換える手間を減らせます。
見積りの段階では、月額に含まれていない費用も確認しておくと安心です。たとえば、シナリオを変更するたびにかかる作業費、通話の録音や文字起こしの保存容量の追加料金、予約システムや顧客管理とつなぐための連携オプションなどは、別料金になっていることがあります。「最初の1年でかかる総額」を出してもらうと、月額だけでは見えにくい差が分かりやすくなります。
任せやすい電話・人が出たい電話の見きわめ方
AI電話に任せやすいのは「聞き取る項目が決まっていて、答えが一つに定まる電話」です。反対に、相手の感情に寄り添う必要がある電話や、その場の判断が必要な電話は、人が出る前提で考えるのが現実的です。
AIに任せやすい電話
- 営業時間外・休日の受付(用件と連絡先を聞いて折り返す)
- 予約の受付・変更(日時・人数・名前など項目が決まっている)
- よくある質問への回答(営業時間・場所・駐車場など)
- 担当部署への振り分けと用件メモの通知
- 営業電話の一次受け(用件を聞いて記録するだけ)
人が出たい電話
- クレーム・苦情など感情への配慮が必要な電話
- 見積り・契約条件など、その場の判断が必要な相談
- 高齢のお客様が多く、音声操作に戸惑いやすい窓口
- 緊急度が高い連絡(事故・故障・安全に関わるもの)
- 長年の取引先からの、関係性が前提の電話
選び方の視点で大事なのは、「任せやすい電話」の中でも、どこまでAIで完結させたいかです。用件を聞いて通知するだけなら取次・代行型でも足ります。予約を台帳に書き込むところまで任せたいなら、予約システムとつながるボイスボットが候補になります。完結させたい範囲が広いほど、初期の設計費用や月額は上がりやすくなるため、最初は範囲を絞るのが無理のない進め方です。
試用で確かめたい6つの基準
AI電話は、カタログの機能一覧よりも「自社の電話で実際にどう動くか」で差が出やすい道具です。デモや無料試用の段階で、次の6つを確かめておくと、導入後のズレを減らしやすくなります。
① 聞き取りの正確さ
自社の商品名・地名・人名を正しく聞き取れるか。早口・方言・周囲の雑音がある状態でも試す
② 人への引き継ぎ
「担当者と話したい」と言われたときに転送できるか。転送先が不在のときの動きも確認
③ 記録と通知先
通話内容の要約がどこに届くか(メール・チャット・顧客管理など)。普段見ている場所に届くかが大切
④ シナリオの直しやすさ
質問の順番や案内文を自社で変えられるか。変更のたびに依頼・費用が発生するかどうか
⑤ 電話番号の扱い
今の代表番号のまま転送で使えるか、新しい番号が必要か。名刺・Webの表記変更の手間にも関わる
⑥ 総額と契約条件
1コール換算の総額、最低契約期間、解約時の番号の扱い。録音データの保存期間と保存場所も確認
とくに②と④は、使い始めてから満足度に差が出やすい項目です。AIが答えられない電話は必ず一定の割合で来るため、「困ったら人につなぐ」逃げ道がスムーズかどうかは、お客様の印象に直結します。また、繁忙期の案内や臨時休業のお知らせなど、案内内容は意外と頻繁に変わります。自社の担当者が管理画面で直せるかどうかは、運用コストに大きく関わってきます。
比較を進める手順
比較を進める手順は、候補を2〜3社に絞り、同じ条件で見積りと試用を行うのが目安です。候補が多すぎると比べる軸がぶれやすく、少なすぎると相場観がつかみにくくなります。
STEP1:任せる電話と量を1枚にまとめる
「平日18時以降の予約受付、月◯件前後、1件あたり2〜3分」のように、用件・時間帯・件数・通話時間を書き出します。これが見積りの共通条件になります。
STEP2:料金の型が違う2〜3社から見積りを取る
同じ条件を渡し、初期費用・月額・従量単価・番号の費用を分けて出してもらいます。1コールあたりに換算して並べると比べやすくなります。
STEP3:自社の実際の用件で試す
社員が「お客様役」になり、言い直し・沈黙・想定外の質問も含めて電話をかけてみます。6つの基準をチェックリストにして記録すると判断しやすくなります。
STEP4:1〜2か月の小さな範囲で始める
最初は時間帯や用件を限定して始め、電話対応に使っていた時間がどれだけ減ったかを見ます。効果が見えてから範囲を広げる流れが、失敗しにくい進め方です。
導入の効果を時間で測る方法はAI導入の費用対効果の計算方法で紹介しています。電話と同じくらいメールやWebフォームの問い合わせが多い会社は、チャットボットの選び方もあわせて検討すると、問い合わせ全体の負担を減らしやすくなります。
ありがちなつまずき:最初から「全部の電話」を任せようとする
AI電話を入れるなら全部任せたい、と考えるのは自然なことです。ただ、最初から全用件を対象にすると、シナリオが複雑になって設計費用がふくらみ、テストも終わりにくくなります。結果として「思ったより答えられない」という印象だけが残り、使われなくなるケースも見られます。まずは営業時間外の受付など、失敗しても影響が小さい1つの電話から始めて、手応えを見ながら広げていくほうが、結果的に早く定着しやすくなります。
補助金で導入費用を抑えるヒント
AI電話の導入費用は、条件がそろえば国の補助制度で自己負担を抑えられる可能性があります。中小企業がまず確認したいのは、ソフトウェア・クラウドサービスの導入を対象とするデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)です。対象になるのは、原則として事務局に登録されたITツールと、登録されたIT導入支援事業者を通じた申請です。
検討しているサービスが対象として登録されているかは、提供会社に「補助金の対象ツールとして登録されているか」を聞くのが早道です。また、補助金は原則として交付決定の前に契約・支払いをしたものは対象外になるため、契約の前に対象になるかを確認するのが安全です。制度の概要はデジタル化・AI導入補助金とはで解説しています。
※補助の対象・補助率・上限額・締切は公募回・年度で変わります。最新は必ず公式サイト・公募要領、または専門家で確認してください。
よくある質問
Q. 小さな会社で電話の件数が少なくても、AI電話を入れる意味はありますか?
A. 件数が少なくても、電話のたびに作業が中断されることの負担は小さくありません。件数が少ない場合は、使った分だけ支払う従量課金型や、取次・代行型から試すと月額を抑えやすい傾向があります。まずは営業時間外の受付など範囲を絞って、中断が減ったかどうかで判断するのが現実的です。
Q. 今使っている会社の電話番号のまま使えますか?
A. 多くのサービスでは、今の番号にかかってきた電話を転送する形で使えますが、電話回線の契約内容や転送の設定方法によって条件が変わります。新しい番号の取得が必要なサービスもあるため、見積りの段階で「今の代表番号のまま使えるか」「転送料金はどちらの負担か」を確認しておくと安心です。
Q. お客様にAIだと分かって嫌がられないか心配です。
A. 冒頭で「AIが用件をお伺いします」と案内し、「担当者と話したい」と言えばすぐ人につながる設計にしておくと、戸惑いを減らしやすくなります。お客様の年齢層や用件によって受け止め方は変わるため、まずは営業時間外など「本来はつながらなかった時間帯」から始めると、受け入れられやすい傾向があります。
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