ChatGPTに会社の情報を学習させない設定|無料版・有料版ごとの手順

「社員がChatGPTに取引先の資料を貼り付けているけれど、あれはAIの学習に使われてしまうのでは?」——生成AIを使い始めた会社で、いちばん多く聞く心配のひとつです。ChatGPTの学習に使うかどうかは、使っているプランと1つの設定で決まります。この記事では、無料版・有料版ごとの設定手順と、設定だけでは防げない注意点を、IT担当がいない会社でも社内で共有できる形で整理します。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- 無料版・Plus・Proの個人アカウントは最初は学習に使われる設定(ON)。「設定 → データコントロール →すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、それ以降の新しい会話は学習に使われない
- Business・Enterprise(会社で契約するワークスペース)は既定で学習に使われない。ただし社員が個人アカウントで使えば会社の管理の外になる
- 学習オフでも、評価ボタン(👍👎)を押した会話は学習に使われることがある、一時チャットも最大30日は保持される——「設定したから何を入れてもよい」ではない
ChatGPTの学習オフ設定はプランによって違う
ChatGPTの学習オフ設定は、個人向けプランでは自分で切り替える必要があり、会社向けプランでは最初から学習に使われない、というのが基本の考え方です。OpenAIの公式ヘルプ「ChatGPT のデータ管理」(2026年10月時点)で確認できる扱いを表にまとめました。
| プラン | 最初の状態 | 学習を止める方法 |
|---|---|---|
| 無料版・Plus・Pro(個人用) | 学習に使われる(データ共有がON) | 本人が「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする |
| ログインせずに使う場合 | 学習に使われる | 設定からオフにする(そのブラウザにだけ保存される) |
| Business・Enterprise | 学習に使われない | 設定不要(会社の管理者が保存期間などを管理) |
| API(自社システムからの利用) | 学習に使われない | 設定不要 |
Goなどほかの個人向けプランも、個人用ワークスペースとして同じ「データコントロール」の画面で状態を確認できます。プランの名前や対象は変わることがあるため、自分の画面で今どうなっているかを一度開いて確かめるのが確実です。
「学習」と「保存」は別の話
学習をオフにしても、会話がOpenAIのサーバーに保存されなくなるわけではありません。チャット履歴は残りますし、安全上の理由で一定期間保持されることもあります。学習オフは「AIの改善に使わないで」という意思表示で、「入力した情報が外に出ない」ことまでを約束するものではない、と押さえておくと社内説明がぶれにくくなります。
ChatGPTの学習オフ設定の手順(ウェブ・スマホ)
ChatGPTの学習オフ設定は、ウェブでもスマホでも「設定 → データコントロール」から1か所切り替えるだけで、ログインしていればアカウント全体(ウェブ・スマホ共通)に反映されます。公式ヘルプの手順は次のとおりです。
STEP1:設定を開く
ウェブ:画面左下のアカウントメニューを開き「設定」を選ぶ。スマホ(iOS・Android):サイドバーを開き、プロフィールアイコンから設定を開く
STEP2:「データコントロール」を選ぶ
設定の中の「データコントロール」を開きます。ここに学習・履歴・エクスポートなどの項目がまとまっています
STEP3:「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする
この項目を選んでオフに切り替え、ウェブでは「完了」を押します。オフにした後の新しい会話から学習に使われなくなります
STEP4:音声モードを使う人は、音声の項目も確認する
公式ヘルプでは、音声モードには学習へのデータ共有について別の設定があると説明されています。音声で使う社員がいる場合は、そちらもあわせて確認します
ブラウザで設定画面を探すのが難しい場合は、2026年9月から提供されている「プライバシーセンター」(アカウントメニュー →「ヘルプ」→「Privacy center」)から、設定の説明と入口をたどることもできます(詳しくはこちらの速報)。また、OpenAIのプライバシーポータルで「Do not train on my content(コンテンツを学習に使用しない)」を選ぶ方法もあり、公式ヘルプではどちらか一方で足りるとされています。
オフにしても、過去の会話は消えない
学習オフはそれ以降の新しい会話に効く設定で、保存済みのチャットを削除したり隠したりはしません。過去に社外秘の情報を貼り付けた会話が気になる場合は、その会話を個別に削除する必要があります。アーカイブしても学習の扱いは変わらない点にも注意が必要です。
一時チャットを使えば履歴にも学習にも残りにくい
一時チャットは、会話を履歴に残さず学習にも使わない使い方で、「この相談だけは残したくない」というときの選択肢になります。公式ヘルプでは、一時チャットの間は次のように扱われると説明されています。
- チャット履歴に表示されない
- メモリ(ChatGPTが覚えておく情報)を作ったり更新したりしない
- OpenAIのモデルの改善に使われない
- 安全上の理由から最大30日間保持される場合がある
ただし、一時チャットを途中で「保存」すると通常のチャットに変わり、アカウントの学習設定に従う扱いになります。また、30日間は保持されうるため、一時チャットなら機密情報を入れてよい、という意味ではありません。あくまで「履歴やメモリに残したくない相談」に使うもの、と考えるのが現実的です。
文章の言い回しの相談/一般的な調べもの/個人的な相談を業務アカウントの履歴に残したくないとき/メモリに覚えさせたくない話題
顧客の氏名・連絡先などの個人情報の入力/取引先との契約書や見積の原文の貼り付け/社内のパスワードや口座情報の入力
ChatGPTの学習オフでも気をつけたい3つの点
ChatGPTの学習オフ設定をしても、使い方によっては会話が学習に使われたり、会社の管理が届かなくなったりする場面が残ります。現場で起きやすいのは次の3つです。
① 評価ボタンを押した会話
公式ヘルプでは、学習をオフにした後でも、回答に👍👎などのフィードバックを送ると、その会話全体が学習に使われる場合があるとされています。社員には「業務の会話では評価ボタンを押さない」と伝えておくと安心です
② 個人アカウントでの業務利用
会社でBusinessを契約していても、社員が個人の無料アカウントで仕事の相談をすれば、その会話は個人の設定のまま扱われます。どのアカウントで使っているかが出発点です
③ 設定が人ごとにばらばら
個人向けプランの学習設定は、本人が自分で切り替えるものです。会社側からまとめて確認する手段はないため、オフにしたかどうかを社員任せにすると、抜けが出やすくなります
特に②は、社員が悪気なくやってしまいやすいところです。会社として生成AIを使ってよいと決めたら、業務で使うアカウントを決めて、個人アカウントでの業務利用はしないという線を引いておくと、設定の確認も楽になります。社員が会社の知らないところでAIを使う「シャドーAI」の考え方や、入れてよい情報・避けたい情報の線引きは生成AIからの情報漏えい対策で整理しています。
社員の設定をそろえる進め方
社員のChatGPTの学習設定をそろえるには、「使うアカウントを決める → 設定を一緒に確認する → ルールに1行書く」の順に進めるのが、少人数の会社でも続けやすい形です。
アカウントを決める
会社契約か個人か
設定を確認する
朝礼などで一斉に
ルールに書く
入れない情報も明記
人数が少なく、個人の有料プランを会社負担で使っている場合は、全員でデータコントロールの画面を開き、学習がオフになっているかをその場で確かめるやり方が手軽です。新しく入った社員にも同じ確認をしてもらう流れを、入社時の手続きに入れておくと抜けにくくなります。
利用者が増えてきた場合は、会社向けのBusinessプランに切り替えることで、学習の扱いを会社の契約としてそろえられます。ワークスペースの管理画面で利用者を追加・削除でき、退職者のアカウントを止めやすくなるのも利点です。料金と選び方はChatGPT法人プランの料金と選び方、ChatGPTの機能や料金の概要はChatGPTのツール個別ページ、ほかのAIチャットはAIチャットの一覧にまとめています。各社の料金を並べて見たい場合は生成AIの料金比較も使えます。
- 業務でChatGPTを使う社員と、使っているアカウント(会社契約・個人)を一覧にした
- 個人向けプランの社員は「すべての人のためにモデルを改善する」がオフになっていることを確認した
- 音声モードを使う社員は、音声の学習設定も確認した
- 「業務の会話では評価ボタンを押さない」「個人情報・契約書の原文は入れない」を社員に伝えた
- 社内のAI利用ルールに、使うアカウントと入れない情報を1行ずつ書いた
社内ルールをまだ作っていない場合は、生成AIの社内ルール・ガイドラインの作り方のテンプレートに、上のチェック項目を足す形が手間の少ない方法です。
つまずきポイント:「設定したから安心」で止まってしまう
学習オフは大事な一歩ですが、情報漏えい対策のすべてではありません。現場では、設定を済ませたことで安心してしまい、顧客の個人情報や取引先の資料をそのまま貼り付ける使い方が続いてしまうケースが見られます。「設定」と「入れない情報のルール」はセットで伝えると、社員も判断しやすくなります。なお、設定項目の名前や場所は画面の更新で変わることがあるため、半年に一度ほど公式ヘルプと画面を見比べておくと安心です。
よくある質問
Q. 学習をオフにすると、ChatGPTの使い勝手は悪くなりますか?
A. 公式ヘルプでは、学習をオフにしてもチャット履歴は残るとされており、過去の会話を見返す・続きから相談するといった使い方はそのまま続けられます。学習の設定と、ChatGPTが覚えておく「メモリ」は別の設定なので、メモリの使い方も変わりません。
Q. 会社でBusinessプランを契約すれば、設定は何もしなくてよいですか?
A. Business・Enterpriseのワークスペースの内容は、既定で学習に使われない扱いです(2026年10月時点の公式ヘルプ)。ただし、社員が個人のアカウントで業務の相談をすると会社の管理の外になるため、「業務では会社のワークスペースで使う」ことを社内ルールで決めておくのが現実的です。保存期間などの組織の設定は管理者が確認します。
Q. 過去に入力してしまった社外秘の情報はどうすればよいですか?
A. 学習オフの設定は、それ以降の新しい会話に効くもので、保存済みの会話を消すものではありません。気になる会話は個別に削除し、今後は学習をオフにしたうえで、個人情報や契約書の原文を入れない運用に切り替えるのが目安です。顧客の個人情報を入れてしまった場合の扱いは、個人情報保護委員会の公式情報や専門家に確認してください。
※本記事は2026年10月28日時点のOpenAI公式ヘルプ(ChatGPT のデータ管理)にもとづきます。画面の名称・設定の場所・対象プランは変更されることがあります。最新は公式情報で確認してください。