AI活用を妨げる規制の情報を政府が募集|10月19日〜30日受付、中小企業にとっての意味

内閣府・デジタル庁・経済産業省は2026年10月2日、AIを仕事に取り入れるときに「法律や通達が壁になっている」という具体的な困りごとの情報募集を発表しました。受付は10月19日(月)から10月30日(金)17時までで、内閣府のWebフォームから誰でも送ることができます。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- 事実:AIの社会実装の障害となる規制・制度(法律・政令・省令・告示・通知・通達など)の情報を募集。受付は10月19日(月)〜10月30日(金)17時、内閣府の情報提供フォームで受け付ける
- 意味:前回(2026年2〜3月)は610件が集まり、宅建士の立会いの見直しやAI採用代行の許可要件の明確化などの答申につながった。現場の「これができれば楽になるのに」が制度を動かす材料になり得る
- アクション:AIで省ける作業なのに「書面・押印・立会い・資格者の目視」が必要で止まっている業務がないか、10月19日までに書き出しておく
発表の事実
今回の募集は、AIを使う側の事業者の「具体的なお困りごと」を集めるものです。内閣府の募集ページ(2026年10月6日確認)で確認できた内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 募集の名称 | AIの社会実装において、障害となる又は不十分な効果をもたらす規制・制度についての情報提供のお願い |
| 担当 | 内閣府規制改革推進室、内閣府人工知能政策推進室、デジタル庁、経済産業省 産業創造課 |
| 募集期間 | 令和8年10月19日(月)〜10月30日(金)17時(フォームは募集開始日から利用可能) |
| 対象のAI | LLM(文章を扱うAI)、マルチモーダルAI、エージェントAI、フィジカルAI(AIロボット、完全無人運転、AIドローンなど) |
| 対象の規制・制度 | 法律、政令、省令、規則、告示、通知・通達など |
| 誰が送れるか | AIを開発・提供・利用するにあたって、規制・制度が障害になっている人 |
| 使い道 | 規制改革推進会議の審議、人工知能基本計画の改定、府省庁横断の規制・ルールの見直しの検討に活用。内容は所管の省庁に共有される場合がある |
経済産業大臣は10月2日の閣議後記者会見で、医療・介護、運輸、建設などの分野でのAI活用を加速させるとともに、中小企業・小規模事業者のAI普及を推進していくと述べ、寄せられた案件のうち必要なものは産業競争力強化法の規制改革制度の活用も視野に伴走支援するとしています。
同じ趣旨の募集は2026年2月10日〜3月10日にも行われ、610件の情報が寄せられました。規制改革推進会議の資料(6月29日)では、関連する答申事項として「デジタル・AIを有効活用するための重要事項説明時における宅建士の立会いの見直し」「AIを活用した採用代行の職業安定法上の許可要否及び許可要件の明確化」「弁護士法におけるAI活用の更なる明確化」などが挙げられています。
中小企業にとっての意味
中小企業にとっての意味は、「AIで省けるはずの作業が、制度のせいで省けない」という声を国に直接届けられる窓口が開くことだと考えられます。
AI導入の相談の現場では、ツールの性能よりも「この書類は紙で保存しなければならない」「この確認は資格者が立ち会う決まりになっている」といったルールの側で止まるケースが少なくありません。こうした壁は1社の努力では変えにくく、今回のような募集は数少ない「声を上げる場」です。前回の募集が宅建業や採用代行といった中小企業にも関係の深い分野の見直しにつながったことを踏まえると、業界の実務に根ざした具体的な情報には一定の重みがあるとみられます。
一方で、情報を送ったからといってすぐに規制が変わるわけではなく、個別の回答が返ってくる仕組みでもありません。また、今回の募集はAIの社会実装に特化したもので、それ以外の規制の要望は「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」が窓口です。「今すぐ自社の問題が解決する」というより、業界全体の環境を少しずつ変えていく材料を出す機会と捉えるのが現実的です。
なお、経済産業省は別途、AIの契約やトラブルに関する現場課題の事例募集(10月30日17時締切)も行っています。こちらは契約ガイドラインの更新に向けた募集で、目的が異なります。
「何が壁か」を具体的に書けるかがポイント
「AIを使いたいが規制が厳しい」という一般論より、「この業務で、この書類(または手続き)が、この理由でAIに任せられない」と業務単位で書けるほうが、検討の材料になりやすいとみられます。業務の洗い出しには業務の棚卸しのやり方の手順が使えます。
今やるべきこと
今やることは、受付開始の10月19日までに「制度が壁になっている業務」を社内で書き出しておくことです。
- AIで下書きや確認ができそうなのに、書面・押印・対面・資格者の立会いなどのルールで止まっている業務がないか、現場の担当者に聞いてみる
- 該当する業務があれば「業務名・根拠になっている法令や通達(分かる範囲で)・何が困るか・変わればどれくらい楽になるか」をメモにまとめる
- 業界団体や商工会議所・商工会でまとめて意見を出す動きがないか確認する
- 10月19日(月)〜30日(金)17時の間に、内閣府の情報提供フォームから送る(フォームは受付開始日から使える)
※募集の期間・対象・方法は今後変わる可能性があります。最新は必ず内閣府の募集ページで確認してください。