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会計・経理まわりのAI機能の選び方|既存ソフトの活用から考える

公開:2026.09.25 / AI参謀 編集部
会計・経理まわりのAI機能の選び方|既存ソフトの活用から考える

経理の手間を減らしたくて「会計ソフト AI」と調べてみると、どのソフトも「AIで自動仕訳」「AI-OCR搭載」とうたっていて、違いが分からない——。そう感じている方は多いと思います。実は、今使っている会計ソフトに、まだ使っていないAI機能が眠っているケースは少なくありません。この記事では、ランキングで順位をつけるのではなく、既存ソフトの活用から考える「選ぶ基準」を一緒に整理します。

⏱ 忙しい人向け 3行まとめ

  • 会計・経理まわりのAI機能は「仕訳の推測」「証憑の読み取り」「請求書・経費の処理」「チェック・分析」の4系統に分けると比べやすい
  • 乗り換えを考える前に、今のソフトの機能とプランで何ができるかを確認するのが近道。周辺ツールの追加で足りることも多い
  • 選ぶ基準は「データの入口」「修正のしやすさ」「税理士との共有」「法対応」「料金体系」「移行の手間」の6つが目安

会計ソフトのAI機能は「今のソフトで何ができるか」から見るのが基本形です

会計・経理のAI化は、新しいツールを探す前に、今の会計ソフトの機能を棚卸しするところから始めるのが現実的です。

理由は3つあります。1つ目は、会計ソフトは過去の仕訳データや勘定科目の設定、取引先の登録などが積み上がっていて、乗り換えには想像以上の手間がかかりやすいこと。2つ目は、クラウド型を中心に、この数年で多くの会計ソフトにAI機能が追加されており、契約中のプランのままで使える機能も増えていること。3つ目は、顧問の税理士・会計事務所とのデータのやり取りが、今のソフトを前提に回っている会社が多いことです。

現場では「気づいたら、ソフトに銀行明細の自動取り込みも仕訳の推測もあったのに、手入力を続けていた」という話がよく聞かれます。まずは契約中のソフトの「機能一覧」と「プラン比較表」を見直すだけでも、打ち手が見えてくることがあります。

① 棚卸し

今のソフトの機能を確認

② 補う

足りない部分だけ周辺ツール

③ 乗り換え

それでも合わなければ検討

会計・経理まわりのAI機能は大きく4系統に分かれます

「AI搭載」とひとくくりにされがちですが、中身は大きく4つの系統に分けると比べやすくなります。自社がどの作業に一番時間を取られているかと照らし合わせて見てみてください。

🏦 仕訳の推測

銀行口座やクレジットカードの明細を取り込み、過去の仕訳や摘要から勘定科目を推測して下書きを作る。修正した内容を学習して精度が上がっていくタイプが多い

📄 証憑の読み取り

領収書・請求書をスマホで撮影したりPDFで取り込んだりすると、日付・金額・取引先などを読み取る。いわゆるAI-OCRの機能

🧾 請求書・経費の処理

受け取った請求書の支払予定づくりや、社員の経費精算の申請・承認を仕訳までつなげる。会計ソフトとは別製品になっていることも多い

🔍 チェック・分析

科目の誤りや二重計上の候補を知らせる、試算表の増減をわかりやすく説明する、など。チャットで質問できる機能も増えている

このうち、多くの会社で効果を感じやすいのは「仕訳の推測」と「証憑の読み取り」です。取引の件数が多い会社ほど、入力の時間が目に見えて減りやすくなります。一方「チェック・分析」は、経理担当者や社長が数字を読む時間を短くする方向の機能で、効果の出方は使い方次第です。証憑の読み取りについてはAI-OCRツールの選び方で詳しく整理しています。

💡

ここがポイント

AIが作るのはあくまで「仕訳の下書き」です。最終的に正しいかどうかを確認するのは人の役割であることは、どのソフトでも変わりません。「AIが入れたから大丈夫」ではなく「確認の手間が入力の手間より軽くなる」と捉えると、期待とのずれが起きにくくなります。

選ぶ基準は6つが目安です

今のソフトを使い続けるか、周辺ツールを足すか、乗り換えるか。どの場合でも、見るべき基準はおおむね次の6つに集約されます。

基準確認すること見落としやすい点
① データの入口取引のある銀行・カード・決済サービスの明細を自動で取り込めるか地方銀行や一部の法人カードは連携できない、または別料金のことがある
② 修正のしやすさAIの推測を直したとき、次回から反映される(学習する)か。ルールを自分で登録できるか直しても毎回同じ誤りが出るなら、手入力と手間が変わらない
③ 税理士との共有顧問の税理士・会計事務所が同じソフトを見られるか、データを受け渡しやすいか事務所側が対応していないソフトだと、結局データ変換の手間が増える
④ 法対応電子帳簿保存法の保存要件、インボイス(登録番号の確認など)への対応「対応」の範囲がソフトによって違う。保存だけか、検索要件まで満たすか
⑤ 料金体系AI機能が今のプランに含まれるか、上位プラン・オプションが必要か利用人数や読み取り枚数で料金が上がる体系もある
⑥ 移行の手間乗り換える場合、過去データ・科目設定・取引先をどこまで移せるか期の途中の乗り換えは作業が重くなりやすい。期首に合わせるのが目安

特に①と③は、ソフトの機能表だけでは判断しにくい項目です。①は取引している金融機関の名前を挙げて、提供元に直接確認するのが確実です。③は、先に顧問の税理士に「このソフトで困ることはあるか」を聞いておくと、後から話が食い違うのを防ぎやすくなります。

もう1つ、比較の精度を上げやすいのが「自社の実データで試す」ことです。無料期間やデモ環境があるなら、直近1〜3か月分の銀行明細と、よく受け取る請求書・領収書を10〜20枚ほど用意し、推測や読み取りがどのくらい当たるか、外れたときに直す手間はどうかを実際に確かめます。機能表では同じ「自動仕訳あり」でも、自社の取引で試すと使い勝手の差が見えやすくなります。試す作業は経理担当者に任せきりにせず、社長や管理部門長も一度画面を触っておくと、導入後の判断がしやすくなります。

既存ソフトを活かすか乗り換えるかは、3つのパターンで考えると整理しやすくなります

判断の分かれ目は、「今のソフトで足りない機能が、周辺ツールで補えるかどうか」です。

パターンA:今のソフトの機能を使い切る

明細の自動取り込みや仕訳の推測、証憑の読み取りが今のプランで使えるなら、まずは設定と運用の見直しから。追加費用がかからず、税理士とのやり取りも変わらないため、最初に試す選択肢として現実的です。

パターンB:周辺ツールを足してつなぐ

請求書の受け取りや経費精算など、会計ソフト本体が弱い部分だけを専用ツールで補う形です。会計ソフトと連携できるか、その連携が自動か・CSVの手作業か、を具体的に確認します。

パターンC:乗り換える

明細連携ができない、インストール型でAI機能の追加が見込めない、税理士もクラウド型を勧めている、といった条件が重なる場合の選択肢です。移行の手間を見込み、期首に合わせて計画するのが目安です。

現場では、パターンAで入力の手間がかなり減り、残った課題(経費精算の紙の回覧など)だけをパターンBで補う、という順番で進める会社が多い傾向があります。いきなりパターンCに進むと、移行作業そのものが経理担当者の負担になりやすい点に注意が必要です。経理全体のどこから手をつけるかは経理・バックオフィスのAI効率化 完全ガイドも参考にしてください。

選定を進める前のチェックリスト

比較や見積もりの前に、次の項目を確認しておくと判断の軸がぶれにくくなります。

つまずきポイント

会計まわりのAI導入では、次の2つのつまずきが起きやすくなります。

つまずき①:推測された仕訳を確認せずに登録してしまう

AIの推測は、過去の入力のくせをそのまま学ぶため、過去に誤った科目で入れていた取引は、誤りのまま推測されやすくなります。導入直後の1〜2か月は、推測された仕訳を一件ずつ確認し、誤りはその場で直して学習させる期間と考えておくと、その後の精度が安定しやすくなります。

つまずき②:ツールを増やしすぎて、データの流れが分からなくなる

経費精算、請求書受領、OCR、会計と別々のツールを足していくと、「どのデータがどこから来たか」が追いにくくなります。周辺ツールを足すときは、最終的に会計ソフトに何が・どうやって入るのかを1枚の図にしておくと、担当者が替わっても引き継ぎやすくなります。

補助金で導入費用を抑えるヒント

会計ソフトや経費精算・請求書処理のツールは、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象になり得る代表的な分野です。

この補助金では、事務局に登録された支援事業者(ITベンダー)と一緒に、登録済みのツールを申請する形が基本です。会計・受発注・決済などの機能を持つソフトは、インボイス対応を目的とした枠の対象になる場合もあります。ただし、補助率・上限額・対象となる経費や枠の要件は公募回・年度で変わります。検討しているツールが登録されているか、どの枠に当てはまるかは、支援事業者と公式サイトで確認してください。制度の全体像はデジタル化・AI導入補助金とはで整理しています。

※補助金の内容は2026年9月時点の一般的な整理です。制度は公募回・年度で変わるため、最新は必ず公式サイト・専門家で確認してください。また、税務・会計処理の判断は顧問の税理士にご確認ください。

よくある質問

Q. インストール型の会計ソフトを使っています。AI機能のためにクラウド型へ乗り換えるべきですか?

A. 乗り換えが必須とは限りません。インストール型でも、銀行明細の取り込みや証憑の読み取りに対応した製品・オプションがある場合があります。まずは今の製品で使える機能を提供元に確認し、それでも「明細連携ができない」「税理士とのやり取りに手間がかかる」といった課題が残るなら、期首に合わせてクラウド型を検討する、という順番が現実的です。

Q. AIの自動仕訳はどのくらい正確ですか?

A. 取引の内容や過去の入力データによって大きく変わるため、一律の数字では言えません。毎月同じ取引先・同じ金額の取引は推測が当たりやすく、初めての取引先や内容がばらばらの取引は外れやすい傾向があります。導入直後は確認と修正を丁寧に行い、2〜3か月使った時点で「確認にかかる時間がどれだけ減ったか」で判断するのが目安です。

Q. 顧問の税理士が今のソフトを使っています。周辺ツールを足すときに気をつけることは?

A. 周辺ツールから会計ソフトに入るデータの形(仕訳として入るのか、証憑として添付されるのか)と、税理士がそれをどこで確認するのかを、導入前にすり合わせておくことです。税理士の側で確認の手間が増えると、顧問料や作業の分担にも影響することがあります。候補のツール名を伝えて、事前に意見を聞いておくと安心です。

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