補助金・助成金

持続化補助金でAIツールは使えるか|小規模事業者の使いどころと対象経費

公開:2026.09.13 / AI参謀 編集部
持続化補助金でAIツールは使えるか|小規模事業者の使いどころと対象経費

「うちは従業員3人。持続化補助金でAIのツールを入れられないだろうか」——小さな事業者の方から、よくいただく相談です。結論から言えば、販路開拓の取組とセットで計画すれば、AIを含むシステムやソフトウェアの費用が対象になる余地はあります。一方で、「AIツールの利用料を補助してほしい」という発想のままだと、対象外になりやすい制度でもあります。この記事では、第20回の公募要領をもとに、どの費目で、どんな使い方なら計画に乗せやすいのかを一緒に整理していきます。

⏱ 忙しい人向け 3行まとめ

  • 持続化補助金は「販路開拓」と、それにあわせて行う「業務効率化」を支援する制度。AIは単独ではなく、その取組の手段として位置づけるのが基本形
  • AIを含むシステム・ソフトは主にウェブサイト関連費に入り、第20回では補助金額の上限が30万円(税込)・単独申請は不可
  • 汎用の生成AIの月額利用料、パソコン・タブレット、AI研修の受講料などは対象になりにくい。ツール導入が主目的ならデジタル化・AI導入補助金も比較するのが現実的

持続化補助金でAIツールは使えるか

使える余地はありますが、「何のために使うか」の書き方次第です。小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)は、自ら策定した経営計画にもとづく販路開拓等の取組と、その取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援する制度だと公募要領に示されています。

対象経費の中には、ウェブサイトやシステムの開発・構築・運用にかかる費用を扱う「ウェブサイト関連費」があり、対象となる経費例として「顧客管理システムの構築」「業務効率化のためのソフトウェア」などが挙げられています。AIを名指しで除外する規定があるわけではないため、AIを組み込んだシステムやソフトウェアも、位置づけによっては計上を検討できる経費です。

💡

ここがポイント

審査や経費の確認で問われるのは「AIかどうか」ではなく、「その経費が、計画に書いた販路開拓・業務効率化の取組にどう必要なのか」です。AIはあくまで手段。「新しいお客様を増やすために、この仕組みが要る」と説明できるかが分かれ目になりやすいところです。

なお、ここで紹介する金額・費目・日程は第20回公募(2026年5月27日公開の公募要領)にもとづくものです。補助金の要件や上限は公募回で変わりますので、申請の際は必ず最新の公募要領で確認してください。

持続化補助金の基本|第20回の補助額と日程

第20回の通常枠は、補助上限50万円・補助率2/3が基本で、特例によって上限が上乗せされる仕組みです。まずは数字の全体像を押さえておきましょう。

50万円
通常枠の補助上限(インボイス特例+50万円、賃金引上げ特例+150万円、両方で+200万円)
2/3
補助率(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
項目第20回(一般型・通常枠)の内容
対象者小規模事業者等。常時使用する従業員が、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)は5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下
申請受付2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00(予定)
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切2026年12月4日(金)
採択発表2027年3月頃(予定)
補助事業実施期間交付決定日から2028年3月31日(金)まで
申請方法電子申請のみ(GビズIDプライムが必要)。商工会・商工会議所の支援を受けて取り組むことが要件

小規模事業者向けの制度らしく、補助額は数十万〜200万円台の規模感です。AIに大きな投資をする制度というより、集客や業務の仕組みを一段整える費用の一部を支えてもらう制度と捉えると、計画のサイズ感を合わせやすくなります。

AIに関わる経費はどの費目に入るか

AIに関わる費用の多くは「ウェブサイト関連費」に入り、次いで「広報費」「機械装置等費」「委託・外注費」が関係します。公募要領の対象経費は8つ(機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費)で、これ以外は対象外とされています。

費目AIとの関わり方の例公募要領上の主な制約
ウェブサイト関連費AIチャット機能を含むホームページ改修、予約・顧客管理システムの構築、業務効率化のためのソフトウェア単独での申請は不可。補助金交付申請額の上限30万円(税込)。契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権は期間分のみ
広報費商品・サービスを宣伝するための画像・動画の制作、SNS広告や運用代行(制作にAIを使う場合を含む)単独での申請は不可。補助金交付申請額の上限30万円(税込)。単なる会社PRは対象外
機械装置等費新たなサービス提供や生産販売拡大のための機械装置(制御や判定にAIが使われている設備を含む)パソコン・タブレット・周辺機器など汎用性が高いものは対象外。システム関連のソフトウェアはウェブサイト関連費で計上
委託・外注費自社で実行が難しい業務の外注ウェブサイト・システム開発の外注はウェブサイト関連費で計上。コンサルティング・アドバイス費用は対象外

見落とされやすいのが、システムやソフトウェアの費用は、外注でもウェブサイト関連費に集約される点です。AIを組み込んだシステムを業者に作ってもらう場合も、委託・外注費ではなくウェブサイト関連費として計上する整理になっています。つまり、AIまわりの費用は「補助金額で30万円まで」という枠の中で考えるのが前提になります。

⚠️

注意

業務効率化(生産性向上)の取組にかかる経費は、申請時に所定の様式へ内容を記載し、経費明細表に計上していることが前提とされています。採択後の変更手続で、あとから補助対象経費に加えることはできません。「採択されたらAIツールも追加しよう」という進め方はできない点に注意が必要です。

対象になりやすいAI活用と、なりにくいAI活用

分かれ目は、その費用が「計画に書いた販路開拓・業務効率化の取組のために、補助事業期間中に使われるものか」にあります。同じAIでも、使い道と契約の形によって見え方が変わってきます。

計画に位置づけやすい

新しい客層を取り込むために、ホームページを改修し、AIチャットで営業時間外の問い合わせや予約の受付に対応できるようにする。顧客管理システムを構築し、来店履歴をもとに再来店の案内を出せるようにする。販路開拓の取組とあわせて、受発注や予約管理の手作業を減らすソフトウェアを導入し、接客に使える時間を増やす。

対象になりにくい

汎用の生成AIサービスを月額契約し、社内の資料作成やメール作成に使う。AIを使うためにパソコンやタブレットを買い替える。すでに使っているツールの更新料や上位プランへの切り替え費用。AI活用セミナーや研修の受講料。売上や成果に連動して課金されるAI広告運用サービス。

右側の中には、公募要領で明確に対象外とされているものがあります。パソコン・タブレット端末(汎用性が高く目的外使用になり得るもの)、既に導入しているソフトウェアの更新料、講習会・セミナー研修等の参加費、売上高や契約数等に応じて課金される経費や成功報酬型の費用などです。汎用の生成AIサービスの利用料についても、公募要領の「家庭および一般事務用ソフトウェア」が対象外とされていることや、補助事業以外の業務と切り分けにくいことから、対象として認められにくい部類だと考えておくのが安全です。

小規模事業者の現場で、計画に乗せやすいAI活用の方向性を整理すると次のようになります。

🌐 集客の入口

ホームページにAIチャットや予約機能を組み込み、問い合わせの取りこぼしを減らす

👥 顧客管理

顧客情報を仕組みで管理し、再来店・リピートにつながる案内を出しやすくする

📣 販促物づくり

商品・サービスを伝える画像や動画、広告の制作を外部に依頼する(広報費の枠内で)

⏱ 接客時間の捻出

予約・受発注などの手作業を減らすソフトウェアで、お客様に向き合う時間を増やす

いずれも「AIを入れること」が目的ではなく、お客様を増やす・つなぎとめる取組の中にAIが組み込まれている形です。この順番で計画を組むと、経費の必要性も説明しやすくなります。なお、ネットショップの運営やモール出店まわりのAI活用は論点が別になるため、姉妹メディアのEC参謀で扱っています。

申請を検討するときの手順

持続化補助金は商工会・商工会議所の書類(様式4)が必要なため、締切から逆算して早めに動くのが基本形です。次の順番で進めると、準備の手戻りが少なくなりやすい傾向があります。

  1. STEP1:販路開拓の取組を先に決める

    「どんなお客様に、何を、どう届けるか」を一文で書いてみます。AIの話はこの後です。ここが決まらないうちにツール選びから入ると、計画全体がちぐはぐになりやすくなります。

  2. STEP2:その取組に必要な仕組みとしてAIを位置づける

    「問い合わせに夜間も対応して予約につなげたい」「顧客情報を活かして再来店を増やしたい」など、取組の中でAIが担う役割を書き出します。業務効率化として計上するものは、この段階で様式に書く内容を固めます。

  3. STEP3:費目と金額を整理し、見積を取る

    システム・ソフトはウェブサイト関連費、広告や販促物は広報費と、費目ごとに振り分けます。それぞれ補助金額30万円(税込)の上限があるため、全体の補助額とのバランスを確認します。発注1件あたり50万円(税込)を超えるものは2者以上の見積が必要です。

  4. STEP4:GビズIDプライムを取得する

    電子申請に必要なアカウントです。発行まで時間がかかることがあるため、計画づくりと並行して先に手続きを始めておくと安心です。

  5. STEP5:商工会・商工会議所に相談し、様式4の発行を受ける

    第20回の様式4の発行受付締切は2026年12月4日(金)で、締切以降の発行依頼はいかなる理由があってもできないとされています。年末は相談が混み合いやすいため、11月中には計画の骨子を持って相談に行けると動きやすくなります。

申請前のチェックリスト

計画書を仕上げる前に、次の点を一度確認しておくのがおすすめです。

つまずきポイント

小規模事業者の申請で起きやすいのは、「ツールありき」と「スケジュールの読み違い」の2つです。

「このAIツールを入れたい」から計画を書き始めてしまう

気になるAIツールが先にあると、計画書がツールの紹介文のようになりがちです。持続化補助金で見られるのは、自社の強みや顧客の状況を踏まえた販路開拓のストーリーです。ツールの機能説明に紙幅を割くより、「今どんなお客様を取りこぼしていて、この仕組みでどう取り込むのか」を自分の言葉で書くほうが、計画として伝わりやすくなります。

交付決定前に契約・支払いをしてしまう

補助対象になるのは、交付決定日以降に発注・契約し、補助事業期間中に支払いが完了した経費です。無料トライアルの流れでそのまま有料契約に切り替えてしまうと、その費用は対象外になります。採択発表から交付決定までは1〜2か月ほどかかる場合があるとされているため、ベンダーにも「交付決定までは契約できない」ことを先に伝えておくと行き違いを防ぎやすくなります。また、補助金は後払いのため、支払いは一度全額を自社で立て替える必要があります。

補助金で安くするためのヒント

AIツールの導入そのものが主目的なら、持続化補助金以外の制度も並べて比べるのが現実的です。持続化補助金はAIまわりの費用に30万円という枠があるため、ツールの費用が大きい場合は制度の選び方で自己負担が変わってきます。

やりたいこと候補になりやすい制度
集客・販路開拓とあわせて、仕組みを整えたい小規模事業者持続化補助金
登録されたITツール(AI機能を含む)を導入して業務をデジタル化したいデジタル化・AI導入補助金
人手不足を補う設備・機器を入れたい中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型など)
従業員にAIの研修を受けさせたい人材開発支援助成金(厚生労働省)

同じ経費に複数の補助金を重ねて使うことは原則できませんが、「持続化補助金でホームページと集客の仕組みを整え、別の時期にデジタル化・AI導入補助金で業務ツールを入れる」といった時期と用途を分けた組み立ては検討の余地があります。どの制度も、補助率・上限額・要件・締切は公募回や年度で変わります。最新の公募要領を必ず公式サイトで確認し、判断に迷う点は商工会・商工会議所や専門家に相談してください。

よくある質問

Q. ChatGPTなどの生成AIの月額料金は、持続化補助金の対象になりますか?

A. 汎用の生成AIサービスを契約して社内業務全般に使う費用は、対象として認められにくい部類です。公募要領では「家庭および一般事務用ソフトウェア」が対象外とされており、補助事業以外の業務にも使う費用は切り分けが難しいためです。一方で、販路開拓の取組のために構築するシステムの一部としてAIを組み込む場合は、ウェブサイト関連費として検討できる余地があります。個別の可否は、商工会・商工会議所や事務局に確認するのが確実です。

Q. AIチャットボット付きのホームページを作る費用は、いくらまで補助されますか?

A. 第20回の公募要領では、ホームページやシステムの費用はウェブサイト関連費に計上し、補助金交付申請額の上限は30万円(税込)とされています。補助率2/3で考えると、補助金30万円に対応する経費は45万円程度が目安になります。また、ウェブサイト関連費だけでの申請はできず、ほかの経費と組み合わせる必要があります。上限や扱いは公募回で変わる可能性があるため、最新の公募要領で確認してください。

Q. 従業員がいない個人事業主でも申請できますか?

A. 持続化補助金の補助対象には個人事業主(商工業者であること)も含まれており、常時使用する従業員の数が業種ごとの基準(商業・サービス業は5人以下など)に収まっていれば、従業員ゼロでも申請を検討できます。ただし、医師・歯科医師などは対象外とされるなど要件が細かく定められているため、公募要領で確認したうえで地域の商工会・商工会議所に相談するのが近道です。

「人が足りないのに、何から手をつければいいか分からない」——そんな時は。

AI参謀を運営する株式会社オタツーは、EC運営代行4,000件以上の現場で培ったAI活用の知見をもとに、中小企業のAI導入・業務省人化を伴走支援しています。補助金の活用可否も含めて、まずは無料でご相談ください。