セキュリティ対策の補助金|セキュリティ対策推進枠の対象・上限・申請の流れ

「セキュリティ対策をしないといけないのは分かっているが、何にいくら払えばいいのか分からない」——そんな中小企業が最初に知っておきたいのが、デジタル化・AI導入補助金の「セキュリティ対策推進枠」です。監視・相談・事故のときの駆け付け・簡易保険がセットになった「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の利用料を、最大2年分まで補助してもらえます。この記事では、対象・補助額・申請に必要な準備と、2026年10月30日の締切に間に合わせるための逆算を整理します。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- セキュリティ対策の補助金は「セキュリティ対策推進枠」が本命。補助額は5万〜150万円、補助率は中小企業1/2・小規模事業者2/3
- 対象はIPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービス」。監視・相談・駆け付け・簡易保険がセットで、利用料は最大2年分が補助の対象
- 申請にはGビズIDプライムとSECURITY ACTION(2026年4月以降の宣言)が必要。今の締切は2026年10月30日(金)17:00
セキュリティ対策の補助金は「セキュリティ対策推進枠」が本命
中小企業がセキュリティ対策に使える補助金はいくつかありますが、まず検討したいのが、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の「セキュリティ対策推進枠」です。サイバー攻撃で事業が止まるリスクを減らすために、セキュリティ対策のサービスを導入する費用の一部を補助する枠です。
ほかの枠や補助金との大きな違いは、対象のサービスがあらかじめ決まっていることです。IPA(情報処理推進機構)が要件を確認して登録した「サイバーセキュリティお助け隊サービス」のうち、補助金の事務局にITツールとして登録されたものが対象になります。何を買えばいいか迷いやすいセキュリティ対策で、選択肢が絞られているのは中小企業にとってむしろ使いやすい点です。
なお、お助け隊サービスは単独で申請できます。ほかの業務ソフトと組み合わせなくても申請できるため、「まずはセキュリティだけ」という使い方ができます。(出典:デジタル化・AI導入補助金 事務局「セキュリティ対策推進枠」、2026年10月22日確認)
セキュリティ対策推進枠の対象・補助額・補助率
2026年10月22日時点で事務局のサイトに掲載されている内容を表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 5万円〜150万円 |
| 補助率 | 中小企業:1/2以内 小規模事業者:2/3以内 |
| 対象の経費 | ITツールの導入費用と、サービスの利用料(最大2年分) |
| 対象のサービス | IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、IT導入支援事業者が提供し、事務局にITツールとして登録されたもの |
| 申請の要件 | GビズIDプライム、SECURITY ACTION(★一つ星または★★二つ星)の宣言 など |
(出典:事務局「セキュリティ対策推進枠」、IPA「SECURITY ACTION|デジタル化・AI導入補助金」、いずれも2026年10月22日確認)
インターネット上には、上限を「100万円」と書いた解説がまだ残っています。2026年度の事務局サイトでは150万円と案内されているため、古い記事の数字で計画を立てないよう注意してください。
対象になる「サイバーセキュリティお助け隊サービス」とは
お助け隊サービスは、IT担当者がいない中小企業でも使えるように、必要な対策をひとまとめにしたサービスです。IPAの基準では、次の4つを1つのパッケージで提供することが求められています。
相談窓口
「怪しいメールを開いてしまった」など、困ったときに相談できる窓口
異常の監視
社内のネットワークやパソコンを見張り、攻撃の兆しを知らせる
事故のときの初動対応
被害が起きたときに、駆け付けなどで最初の対応を支援する
簡易サイバー保険
事故の対応にかかった費用の一部を補う保険
(出典:IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス」、最終更新2026年10月16日、2026年10月22日確認)
料金の目安としては、IPAのサービス基準(2.1版)で、1類のサービスはネットワーク監視型で月額1万円(税抜)以下、端末監視型で1台あたり月額2,000円(税抜)以下とされています。実際の金額は、台数や付いているサービスで変わるため、各サービスの見積もりで確認してください。(出典:IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス基準 2.1版」、2026年10月22日確認)
例えば月額1万円のサービスを2年使うと利用料は24万円で、中小企業なら補助率1/2で12万円、小規模事業者なら2/3で16万円が補助の目安になります。実際の補助額は、導入費用を含めた見積もりと交付決定の内容で決まります。
「1類」と「2類」
お助け隊サービスには、価格の条件が厳しい1類と、監視や定期的な相談を手厚くした2類があります。IPAのページでは、2026年度の新規の登録申請は1類が対象と案内されています。どちらがセキュリティ対策推進枠の対象になっているかは、事務局の登録状況で確認してください。
セキュリティ対策推進枠の申請の流れ
申請はIT導入支援事業者(お助け隊サービスを提供している事業者)と一緒に進めます。会社側で先に用意しておくものが2つあり、ここが間に合うかどうかで締切に間に合うかが決まります。
GビズIDプライムを用意する
補助金の電子申請に使う会社のIDです。法人代表者はマイナンバーカードとGビズIDアプリでオンライン申請できます。書類で申請すると審査に最大1か月かかるため、今から書類で取る場合は今回の締切には間に合わない可能性が高いです。手順はGビズIDの取得方法で解説しています。
SECURITY ACTIONを宣言し直す
補助金の申請には、SECURITY ACTIONの★一つ星または★★二つ星の宣言が必要です。2026年4月から新しい管理システムに変わり、2026年3月以前の宣言は補助金の交付申請に使えません。補助金の申請と同じGビズIDで、新しいシステムから申し込みます。以前の宣言IDを忘れた場合も、宣言し直しになります。
お助け隊サービスを選び、事業者に相談する
IPAの登録一覧で、自社の規模や使い方に合うサービスを探し、提供している事業者に「セキュリティ対策推進枠で申請したい」と伝えます。事務局にITツールとして登録されているサービスかどうかも、このとき確認します。
事業者と一緒に交付申請をする
見積もりをもとに、申請システムから交付申請をします。交付決定の前に契約・支払いをすると補助の対象外になるのが一般的なため、契約は交付決定を待ってからにします。流れの全体はデジタル化・AI導入補助金の申請の流れで整理しています。
導入して実績報告をする
交付決定のあとにサービスを契約して使い始め、期限までに実績報告をします。補助金は後払いなので、いったんは全額を支払う資金が必要です。考え方は補助金は後払いで解説しています。
(出典:IPA「SECURITY ACTION|デジタル化・AI導入補助金」、事務局「セキュリティ対策推進枠」、いずれも2026年10月22日確認)
セキュリティ対策推進枠の締切|10月30日に間に合うか
事務局の公式スケジュールでは、今公表されている締切は次のとおりです。
| 項目 | 日程(2026年10月22日時点の公式スケジュール) |
|---|---|
| 申請の締切 | 2026年10月30日(金)17:00 |
| 交付決定 | 2026年12月10日(木)予定 |
| 事業の実施期間 | 交付決定〜2027年5月31日(月)17:00 予定 |
| 実績報告の期限 | 2027年5月31日(月)17:00 予定 |
締切は17:00で、時間を過ぎると理由を問わず受け付けないと案内されています。次の回(7次)の日程は、2026年10月22日時点ではまだ公表されていません。事務局は「確定している募集回のスケジュールのみ公表」としているため、次の回を待つ場合は公式のスケジュールを確認してください。(出典:事務局「スケジュール」、2026年10月22日確認)
今回の締切に間に合わせるなら、目安は次のとおりです。
- GビズIDプライムとSECURITY ACTION(2026年4月以降の宣言)がすでにある:すぐにお助け隊サービスの事業者に連絡すれば、間に合う可能性があります
- GビズIDはあるが、SECURITY ACTIONが3月以前の宣言のまま:まず新しいシステムで宣言し直してください
- GビズIDがない:代表者のマイナンバーカードでオンライン申請できるなら、すぐに申請を。書類で取る場合は今回は見送り、次の回に向けて準備を始めるのが現実的です
なお、GビズIDは10月にメンテナンスで一時的に使えない時間帯が予告されていました。詳しくはGビズIDのメンテナンスの速報を確認し、締切の直前に手続きを残さないようにしてください。
つまずきポイント
以前のSECURITY ACTIONの宣言で申請しようとする
2026年3月以前に宣言した会社は、そのままでは補助金の交付申請に使えません。「前に宣言したから大丈夫」と思い込みやすい点です。補助金と同じGビズIDで、新しいシステムから宣言し直してください。
補助金のために、必要以上のサービスを選ぶ
補助があると、上位のプランや台数の多い契約を選びたくなります。ただ、補助が終わった3年目からは全額が自社の負担です。補助がなくても払い続けられる規模で選ぶと、対策が途切れません。
交付決定の前に契約してしまう
早く守りたい気持ちから、交付決定の前に契約・支払いをしてしまうと、補助の対象にならないのが一般的です。急ぎで対策が必要な場合は、補助金を使わずに先に始めるか、交付決定を待つかを事業者と相談して決めてください。
セキュリティ対策の補助金とあわせて読みたい記事
補助金で導入するサービスを決める前に、自社で何から守るべきかを整理しておくと選びやすくなります。全体の進め方は中小企業のセキュリティ対策ガイド、被害の多いランサムウェアへの備えはランサムウェア対策で解説しています。AIツールの導入に使える補助金の全体像はAI導入に使える補助金・助成金 完全ガイドにまとめています。
※補助金の内容・締切は公募回や年度で変わります。この記事は2026年10月22日時点の事務局サイト・IPAの情報をもとにしています。申請の前に、必ず事務局の公式サイトと公募要領で最新の条件を確認してください。
よくある質問
Q. 個人事業主もセキュリティ対策推進枠を使えますか?
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者が対象で、個人事業主も要件を満たせば申請できます。補助率は中小企業が1/2以内、小規模事業者が2/3以内です。個人事業主の場合もGビズIDプライムとSECURITY ACTIONが必要なので、まずこの2つを用意してください。対象になるかは公募要領で確認を。
Q. お助け隊サービスはどこで探せばいいですか?
IPAのサイトに「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の登録一覧があります。ただし、補助の対象になるのは、IT導入支援事業者が提供し、補助金の事務局にITツールとして登録されたサービスだけです。気になるサービスが見つかったら、提供している事業者に「セキュリティ対策推進枠の対象か」を確認してください。
Q. 10月30日の締切に間に合わなかったらどうすればいいですか?
2026年10月22日時点では、次の回の日程はまだ公表されていません。事務局は確定した回のスケジュールだけを公表するため、公式のスケジュールを定期的に確認してください。その間に、GビズIDプライムの取得とSECURITY ACTIONの宣言、サービスの比較を済ませておくと、次の回で慌てずに申請できます。