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9月は「価格交渉促進月間」|労務費の転嫁率50.0%、中小企業にとっての意味

公開:2026.09.02 / AI参謀 編集部
9月は「価格交渉促進月間」|労務費の転嫁率50.0%、中小企業にとっての意味

中小企業庁が2026年9月1日、「価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果」のページを更新し、9月が「価格交渉促進月間」であることを改めて案内しました。最低賃金の引き上げが決まり、人件費が上がり続けるこの時期に、上昇分を取引価格へ反映するための交渉を後押しする取り組みです。

⏱ 忙しい人向け 3行まとめ

  • 事実:中小企業庁は2021年9月から毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」に設定。月間終了後に受注側中小企業30万社へ調査を行い、状況の芳しくない発注者には大臣名で指導・助言を実施している
  • 意味:直近(2026年3月)調査の価格転嫁率は54.2%。ただし労務費だけを見ると50.0%で、上がった人件費のおよそ半分は自社が飲み込んでいる計算になる
  • アクション:9月は交渉を切り出す口実が国から用意されている月。10月の価格改定に間に合うよう、根拠資料を揃えて申し出る。交渉で取り切れない分は省人化で削る、の二本立てで考える

発表の事実

中小企業庁は2026年9月1日、「価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果」のページを更新し、2026年9月の月間実施に関する周知文を掲載しました。同ページでは「中小企業の『稼ぐ力』の強化と賃上げの好循環の実現には、価格転嫁・取引適正化が重要です」として、受注者には積極的な価格交渉の申し出を、発注者には誠実な協議と直接の取引先のその先まで考慮した価格決定を呼びかけています。あわせて赤澤大臣からのメッセージ動画も公開されています。

「価格交渉促進月間」は、エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇する中で中小企業が価格転嫁をしやすい環境をつくるため、2021年9月から毎年9月と3月に設定されているものです。中小企業庁の説明によると、価格の改定は半期に一度、4月と10月に行う企業が比較的多いことから、その前月にあたる3月と9月が月間に選ばれています。

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月間の仕組み

月間中に広報・講習会・業界団体を通じた要請を行い、月間終了後に受注側中小企業へフォローアップ調査を実施。価格転嫁率や業種別・都道府県別の結果を公表し、状況の芳しくない発注者には受託中小企業振興法に基づき事業所管大臣名で指導・助言が行われます。調査は回答が発注者に知られないよう匿名性の確保が徹底されるとされています。

直近(2026年3月)のフォローアップ調査結果

2026年6月26日に公表された、直前の月間(2026年3月)に関する調査結果は次のとおりです。配布先は30万社、調査期間は2026年4月20日〜6月3日、回答企業数は69,625社(回答から抽出される発注側企業数は延べ91,233社)でした。

調査項目2026年3月時点の結果
「価格交渉が行われた」割合90.7%(前回から微増)
価格転嫁率(全体)54.2%(前回から約1ポイント増)
うち 原材料費55.7%
うち 労務費50.0%
うち エネルギーコスト48.9%
官公需における価格転嫁率48.4%(前回から約4ポイント減)

このほか、全額の転嫁に至らなかった企業のうち発注企業から「納得できる説明があった」と回答したのは約6割、都道府県別では上位と下位で転嫁率に20%以上の差が生じていること、支払手段を「現金のみ」とした回答が87.5%まで増加した一方、支払期日が60日を超過している企業が全体の6.6%残存することなどが報告されています。なお、発注者ごとの評価を記載した「発注者リスト」は2026年8月4日に公表されています。

90.7%
価格交渉が行われた割合
50.0%
労務費の価格転嫁率

中小企業にとっての意味

数字の並びで注目したいのは、「交渉はできている(90.7%)のに、労務費は半分しか通っていない(50.0%)」というギャップです。交渉のテーブルには着けるようになったものの、上がった人件費の残り半分は自社の利益から出ている、という構図が読み取れます。

最低賃金の引き上げが順次発効するこの秋、人件費はさらに上振れします。つまり、いま交渉しなければ、来期の利益がそのまま削られる可能性があります。9月が「月間」であることは、経営者にとっては実務的な意味を持ちます。「国が今月を価格交渉促進月間としているので、改めてご相談させてください」という切り出し方ができる——これは、普段は言い出しにくい交渉のきっかけとして使える口実です。

制度面も動いています。中小企業庁によると、下請代金支払遅延等防止法および下請中小企業振興法の改正法が令和7年5月16日に成立・同月23日に公布され、令和8年(2026年)1月1日から施行されています。これにより下請法は「中小受託取引適正化法(取適法)」、下請中小企業振興法は「受託中小企業振興法(振興法)」となりました。交渉の後ろ盾となるルールは、この1年で強化された側にあります。

ありがちな誤解:「交渉すれば取引を切られる」

取引停止をおそれて申し出を控える声は根強くあります。ただ、フォローアップ調査は回答が発注者に知られないよう匿名性を確保して集計されるとされており、調査への協力そのものが直ちに取引先に伝わる仕組みではありません。また、取引上の悩みには全都道府県に無料相談窓口(取引かけこみ寺)が設置されています。まずは「相談する」段階から使える制度がある、と考えておきましょう。

今やるべきこと

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省人化とセットで考える理由

価格転嫁は「売価を上げる」打ち手、省人化は「原価を下げる」打ち手です。労務費の転嫁率が50.0%ということは、統計上は半分は自社で吸収せざるを得ないのが現状ということでもあります。転嫁交渉と並行して、吸収する側の負担を減らしておくと、次の賃上げ局面でも耐えやすくなります。

出典

※本記事は2026年9月2日時点の公開情報にもとづきます。調査結果の数値は公表資料のままを引用しています。制度・窓口の運用は変わることがあるため、最新は公式サイトで必ず確認してください。