IPA「お助け隊サービス(新類型)」実証事業が開始|無償で参加できる15事業者と中小企業にとっての意味

IPA(情報処理推進機構)が2026年9月15日、「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)実証事業」の紹介ページを公開しました。取引先から求められるようになりつつあるSCS評価制度の★3・★4取得を、診断・ITツール導入・規程整備や教育までワンパッケージで伴走支援する枠組みで、中小企業は無償で参加できます。実証期間は2026年10月から2027年9月までの予定です。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- 事実:IPAが9月15日に新類型実証事業のページを公開。公募で採択された15事業者のサービスに中小企業が無償で参加でき、実証期間は2026年10月〜2027年9月の予定
- 意味:「取引先からセキュリティ対策の証明を求められそう」な会社にとって、費用をかけずに★3水準の準備を進められる機会になりそうです。ただし定員や対象業種の条件があります
- アクション:15事業者の対象エリア・業種を確認し、自社に合う1社へ直接連絡する。実証後は有償になる前提で検討する
発表の事実
IPAのページによれば、本実証事業は「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」の制度化に向けて、中小企業が実際にサービスを利用しながら、導入しやすいサービス体系と適切な価格要件を検証するものです。IPAのページに書かれている主な内容は次のとおりです。
- 公開日:2026年9月15日(IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)実証事業」ページ)
- 背景:経済産業省と内閣官房国家サイバー統括室が構築を進める「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」は、IPAが運営主体となり2026年度末頃の制度運用開始を予定。従来のお助け隊サービスは2021年度から運用され、累計導入企業数は約10,900社(2026年3月末時点)
- 課題:SCS評価制度の★3にはポリシー策定などの組織的対策が多く含まれ、従来のお助け隊サービスを導入していても要求事項の一部しか満たせない
- 新類型の内容:★取得のための課題の可視化(診断・助言)、推奨されるITツールの導入、ITツール以外の支援(コンサルティング・教育等)をワンパッケージで提供し、★3・★4取得を伴走支援
- 参加費用:無償。実証事業者から参加費用を請求されることはない、と明記
- 実証期間:2026年10月〜2027年9月の1年間を予定(最大で1年程度)。実証期間後は有償でのサービス継続を検討するよう案内
- 参加方法:15事業者の中から自社に合うサービスを選び、事業者へ直接連絡。要件が合わない場合や予定数に達している場合は参加できないことがある。複数事業者への重複参加は不可
- 参加企業の協力事項:制度創設に向けた意見の提出、セキュリティ対策に関する情報提供(不審な通信を検知した際の関連情報の提供を含む)
- 制度化の目標:2027年度末まで
実証を行う15事業者は、NTTデータ、大阪商工会議所、三井物産セキュアディレクション、アクシス、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン、NTTドコモビジネス、オプティム、NTT Risk Manager、セキュアイノベーション、ちばぎんコンピューターサービス、イシマル、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ、SOMPOリスクマネジメント、リコージャパン、フォーバルです。対象エリアは「全国」の事業者が多い一方、千葉県、長崎県中心の九州北部、関西地域、沖縄県中心など地域を絞った事業者もあります。対象業種は製造業を中心とするものが多く、SOMPOリスクマネジメントは自動車業界に特化しています。
なお、実証事業の事務局はIPAから一般財団法人関西情報センターに業務委託されており、問い合わせの回答は同センターから来ることがある、とも記載されています。
中小企業にとっての意味
一番大きな意味は、「取引先から★3の取得を求められたときの準備」を、費用をかけずに1年かけて進められる点にあります。SCS評価制度は委託元が委託先に段階(★)を提示し、対策を促す使い方が想定されています。制度運用が始まると、大手や中堅の取引先からチェックリスト代わりに★の取得を求められる場面が、製造業のサプライチェーンを中心に増えていくとみられます。これは制度の設計思想からの推測で、どの業界でいつ広がるかは現時点では断定できません。
従来のお助け隊サービスが「検知と初動対応」を中心にしていたのに対し、新類型は規程づくりや教育といった「人と組織の対策」まで含む点が違いです。中小企業でセキュリティ対策が進みにくい理由の多くは、機器の不足よりも「何を決めて、誰が運用するか」が固まらないことにあります。伴走型で規程整備まで手伝ってもらえるなら、この壁を越えやすくなりそうです。
一方で注意点もあります。実証は無償ですが、実証期間後は有償になる前提です。IPAのページにも「実証期間後もサービスの継続(有償)をご検討ください」とあります。制度化後の価格は今回の実証で検証される段階のため、現時点で「いくらになるか」は分かりません。また、参加企業には意見提出や情報提供の協力が求められます。
AI導入との関係で言えば、社内のデータをAIツールに読ませたり、クラウドサービスを増やしたりするほど、アカウント管理やバックアップ、インシデント時の手順といった基本の対策が前提になります。★3水準の整備は、AI活用を安心して広げるための土台づくりとも重なります。この点は当サイトの解釈です。
今やるべきこと
- 取引先の動きを確認する:主要な取引先から、セキュリティ対策の証明やチェックリストの提出を求められる見込みがあるか、営業・購買の担当に聞いておく
- 15事業者の条件を見比べる:対象エリア・対象業種・★3中心か★4も対応か、の3点で絞り込み、候補を1〜2社に絞る。重複参加はできないため、1社に決めて連絡する
- 「実証後の費用」を先に聞く:制度化後の価格は未定でも、その事業者が現在提供している類似サービスの料金感を確認しておくと、1年後の判断がしやすくなります
- 社内の担当者を決める:伴走支援を受けるにも、社内で窓口になる人が要ります。兼任でよいので、診断の受け答えと規程の運用を担う人を決めておく
つまずきやすいところ
「無償だから」と申し込んだものの、診断のヒアリングや規程整備の作業に社内の時間を割けず、途中で止まってしまうケースは起こりやすいところです。実証に参加する場合は、月に数時間は担当者の時間を確保する前提で考えるのが現実的です。また、事業者ごとに実証予定数があるため、検討が長引くと枠が埋まる可能性もあります。
出典
※本記事は2026年9月16日時点の公開情報にもとづきます。参加条件・事業者の対応エリアや業種・実証期間は変わる可能性があります。最新は公式サイトと各事業者で確認してください。
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