人手不足・困った

休みが取れない職場|一人休んでも仕事が回る体制のつくり方

公開:2026.10.07 / AI導入参謀 編集部
休みが取れない職場|一人休んでも仕事が回る体制のつくり方

「自分が休むと現場が止まる」「休んでも結局、家で電話に出ている」——。人が足りない会社では、社長も社員も休みづらい状態が当たり前になりがちです。けれど、休めない理由をたどっていくと、人数そのものより「その人しか知らない仕事」が残っていることが原因になっているケースが少なくありません。この記事では、一人が休んでも仕事が回る体制を、今いるメンバーでつくる進め方を一緒に整理していきます。

⏱ 忙しい人向け 3行まとめ

  • 休めない原因の多くは人数不足より「属人化」。まず「この人が休むと止まる仕事」を洗い出すのが出発点
  • 打ち手は「代わりの人を決める(ペア制)」「やり方を残す(手順書)」「情報を一か所に置く(共有)」の3つ。AIは手順書づくりと問い合わせ対応の負担を軽くできる
  • いきなり全員の休暇を増やすより、「1人が1日休んでも回るか」を試す日をつくり、困ったことを1つずつ潰すのが現実的

休みが取れない原因は「人数」より「その人しか知らない仕事」

休みが取れない職場の多くは、人数より「代わりがいない仕事」がボトルネックになっているのが実情です。同じ人数でも、誰が休んでも回る会社と、1人休むだけで止まる会社があります。違いは、仕事のやり方や情報が特定の人の頭の中やパソコンの中にあるかどうかです。

現場でよく聞く「休めない理由」は、だいたい次の4つに分けられます。

👤 代わりがいない

その作業をできるのが1人だけ。教える時間がないまま年月が経っている

📞 問い合わせが本人に来る

取引先や社内から「◯◯さんいますか」。窓口が個人になっている

📁 情報が見つからない

資料や進み具合が個人のメール・PCにあり、ほかの人が探せない

😓 休みにくい空気

「忙しいときに休むのは悪い」という雰囲気で、言い出しにくい

このうち最初の3つは、仕組みで減らせる部分です。4つめの「空気」も、仕組みが整って「休んでも誰も困らない」状態が見えてくると、少しずつ変わっていく傾向があります。逆に、仕組みが変わらないまま「休みを取りましょう」と呼びかけても、休んだ人の仕事が積み上がるだけで、かえって休みにくくなることがあります。

📝

押さえておきたい法律のポイント

年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員には、会社が年5日を取得させる義務があります(2019年4月から、企業規模を問わず適用)。守れていない場合は罰則の対象になりうるため、「休めない」状態は経営上のリスクでもあります。対象者や時季指定の方法など細かな運用は、厚生労働省の資料や社会保険労務士に確認してください。

一人休んでも回る体制をつくる5ステップ

「休んでも回る体制」は、洗い出し→ペア決め→手順書→共有→試し休みの5ステップで進めるのが基本形です。一度に全部やろうとせず、まずは1つの部署・1人の業務から始めると負担が小さく済みます。

  1. STEP1:「この人が休むと止まる仕事」を書き出す

    メンバーそれぞれに「自分が3日休んだら、何が止まるか・誰が困るか」を書き出してもらいます。頻度(毎日・毎週・毎月)と、止まったときの影響の大きさもメモしておくと、優先順位がつけやすくなります。洗い出しの手順は業務の棚卸しのやり方が参考になります。

  2. STEP2:仕事ごとに「代わりの人」を決める(ペア制)

    止まると困る仕事には、主担当と副担当を1人ずつ決めます。副担当は完璧にできなくても、「急ぎの対応だけはできる」状態を目標にすると現実的です。お互いに副担当を持ち合う形にすると、特定の人に負担が偏りにくくなります。

  3. STEP3:やり方を手順書に残す

    主担当が普段どおり作業しながら、手順を声に出して説明し、録音や画面録画で残します。その記録をAIに渡すと、手順書の下書きを短時間で作れます。最後は主担当が中身を確認して直します。

  4. STEP4:情報と窓口を「個人」から「チーム」に移す

    資料は共有フォルダへ、進み具合は共有の一覧表へ、問い合わせの窓口は個人のメールではなく共通のアドレスや電話番号へ寄せます。休んでいる人に連絡しなくても、副担当が状況を把握できる状態をめざします。

  5. STEP5:「試し休み」で困ったことを潰す

    繁忙期を避けて、主担当に1日休んでもらい、副担当だけで回してみます。困ったこと・分からなかったことをメモし、手順書や共有のしかたに書き足します。これを2〜3回繰り返すと、「本当に休んでも大丈夫」という実感が職場に生まれやすくなります。

ポイントは、STEP5の「試し休み」を予定として先に入れてしまうことです。準備が整ってから休もうとすると、いつまでも整わないまま時間が過ぎがちです。日付を決めると、STEP2〜4の準備に締切ができ、進みやすくなります。

休みを取りやすくするためにAIが手伝えること

AIが力を発揮しやすいのは、「引き継ぎの準備」と「不在中の問い合わせ」の負担を減らす部分です。代わりの人を育てたり、休みやすい雰囲気をつくったりするのは人の役割ですが、準備にかかる手間はかなり軽くできます。

場面AIが手伝えること人がやること
手順書づくり録音・画面録画の文字起こしから、手順書やチェックリストの下書きを作る主担当が内容を確認し、間違いや抜けを直す
引き継ぎメモメールやチャットのやり取りから、案件ごとの「今どこまで進んでいるか」を要約する要約が正しいか確認し、副担当に口頭でも伝える
社内の問い合わせ手順書や社内ルールを読み込ませ、「この場合どうする?」に答える形にする読み込ませる資料を選び、古い情報を更新する
社外の問い合わせよくある質問への一次回答、電話の用件の聞き取りと記録判断が必要なものに対応する。回答内容のルールを決める
シフト・休暇の調整休みの希望と必要人数を踏まえたシフト案を作る案を確認し、本人の事情を踏まえて調整する
💡

ここがポイント

引き継ぎの準備が進まない一番の理由は、「書く時間がない」ことです。話すだけで手順書の下書きができれば、忙しい主担当にも協力をお願いしやすくなります。手順書を作ったあと更新し続ける方法は業務マニュアルをAIで作り、更新し続ける仕組みで、休みの希望を踏まえたシフトづくりはシフト作成・勤怠管理をAIで自動化するで紹介しています。

不在中の電話対応に追われている場合は、電話の一次対応を自動化する選択肢もあります。用件を聞き取って担当者にメッセージで送るだけでも、「休みの日に電話が鳴り続ける」状態は減らしやすくなります。詳しくは電話番のせいで仕事が進まないで整理しています。

どの仕事から手をつけるかの決め方

手をつける順番は、「止まったときの影響の大きさ」と「発生する頻度」の2軸で決めるのが目安です。STEP1で書き出した仕事を、次の表に当てはめてみてください。

優先度どんな仕事か打ち手の目安
最優先止まると影響が大きく、毎日〜毎週ある(受発注、請求、主要顧客の対応など)副担当を決め、手順書を作り、試し休みで確認する
次に止まると影響は大きいが、月1回程度(給与計算、月次の締め、定期報告など)手順書を作り、副担当が1回は実際にやってみる
その次毎日あるが、数日止まっても大きな問題にならない(社内の資料整理など)共有フォルダに置き場所を決め、やり方をメモ程度に残す
後回し頻度が低く、止まっても影響が小さい本人が戻ってから対応する前提でよい

社長自身が「休めない人」の筆頭になっている会社も多く見られます。その場合は、社長の仕事も同じ表に当てはめてみると、手放せる仕事が見えてきます。手放し方は社長が現場に入りっぱなしで経営の時間がないでまとめています。

うまくいきやすい進め方

影響の大きい仕事1つから着手。副担当を決め、手順書を作り、試し休みの日を先に予定に入れる。困ったことはその都度手順書に足す。

ありがちな失敗

「全員、有給を取りましょう」と呼びかけるだけ。仕組みが変わらないため、休んだ人の仕事が積み上がり、結局みんな休まなくなる。

始める前のチェックリスト

つまずきポイント

副担当が「名ばかり」になってしまう

副担当を決めても、一度も実際にやったことがなければ、いざというときに動けません。月に1回は副担当が実際に作業する日をつくるなど、手を動かす機会を予定に入れておくと、本当に代われる状態に近づきやすくなります。主担当にとっても、自分のやり方を見直すきっかけになります。

休んでいる人に連絡してしまう

仕組みを整えても、「ちょっとだけ聞きたい」と休み中の人に連絡すると、休んだ側は休んだ気がしません。「休み中の連絡は緊急時だけ」とルールを決め、分からないことはメモしておいて復帰後に聞く運用にすると、手順書の抜けも見つけやすくなります。属人化そのものを減らす考え方は属人化の解消方法で詳しく解説しています。

補助金で安くするヒント

情報共有や手順書づくりに使うITツール、電話の自動応答などの導入には、補助金・助成金が使える場合があります。たとえば業務効率化のITツールは「デジタル化・AI導入補助金」、労働時間の短縮や休暇を取りやすくする取り組みには厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金」が候補になることがあります。ただし、対象になる経費・要件・申請時期は制度ごとに細かく決まっており、制度は公募回・年度で変わります。最新は必ず公式サイトや専門家で確認してください。全体像はAI導入に使える補助金・助成金 完全ガイドで整理しています。

よくある質問

Q. 少人数の会社でも、副担当を決めることはできますか?

A. できます。少人数の場合は、全部の仕事に副担当をつけるのではなく、止まると影響が大きい仕事に絞るのが現実的です。お互いに1〜2個ずつ副担当を持ち合う形にすると、負担を分け合いやすくなります。どうしても社内で代われない仕事は、外部の専門家や代行サービスに一部を任せる選択肢もあります。

Q. 手順書を作る時間がありません。どうすればいいですか?

A. 書くのではなく、作業しながら話した内容を録音し、AIで文字起こしと手順書の下書きを作る方法があります。主担当は最後に内容を確認するだけなので、1業務あたりの負担は大きく減らせることが多いです。最初から完璧を目指さず、試し休みで困った点を足していく前提で始めると進めやすくなります。

Q. 有給の年5日取得義務は、パートやアルバイトも対象ですか?

A. 雇用形態ではなく、年10日以上の年次有給休暇が付与されるかどうかで決まります。パートやアルバイトでも、勤務日数や勤続年数によって年10日以上付与される場合は対象になります。個別の判断は、厚生労働省の資料や社会保険労務士に確認してください。